副腎皮質ホルモンの効果と副作用についての5つの基礎知識

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副腎皮質ホルモンは、抗炎症作用や免疫抑制作用が強くお肌や体のトラブルを治療する際に非常に効果がある薬として知られています。一方で、「副作用の危険性がある」というイメージも強く、副腎皮質ホルモンの使用をなるべく避けるようにしているという人もいます。

適切な治療をする為には、効果があるからと言って使いすぎたり、反対にむやみに使用を避けるのではなく、正しく使う事が大事です。今回は、副腎皮質ホルモンの効果や副作用の基礎知識についてお伝えします!



副腎皮質ホルモンの効果と副作用についての5つの基礎知識

 

1: 副腎皮質ホルモンは体内で分泌されるホルモンの一種


副腎皮質ホルモンといえば、「ステロイド剤として体外から摂取したり肌に塗ったりする強い薬品」という印象がありますが、実際には、人間の体内で作り出されているホルモンの一つです。腎臓の近くにある副臓という臓器の外側の皮質で作られている為、副腎皮質ホルモンという名前で呼ばれています。

また、「副腎皮質ホルモン=ステロイド」というのは正確に言えば間違いで、女性ホルモンや男性ホルモンといった性腺ホルモンと、副腎皮質ホルモンの両方を合わせてステロイドと呼びます。このうち副腎皮質ホルモンの方だけを科学的に合成した薬品がステロイド剤であることから、一般的にはステロイドというと副腎皮質ホルモンの事を指していることがほとんどです。

最近では、ひどいニキビの治療等でステロイド剤を使用して効果が出ている事例もありますが、抗炎症効果はあっても性腺ホルモンとは無関係の為、ニキビの原因となる女性ホルモンや男性ホルモンのバランスの乱れを整えている訳ではありません。

2:副腎皮質ホルモンの効果


人間の体内で副腎皮質ホルモンを作り出している副臓は、とても小さな臓器ですが様々な役割を持ったホルモンを分泌しています。このうち、副臓の皮質部分で作られているいくつかのホルモンを総称して副腎皮質ホルモンと呼んでいて、科学合成されたステロイド剤も同じ働きを持っています。

副腎皮質ホルモンの主な効果としては、抗炎症作用や免疫抑制作用の他、抗ストレス作用、代謝作用、中枢作用があります。このうち、抗炎症作用や免疫抑制作用を利用して、発熱などの肉体症状やひどいアレルギー症状が起きた時などにステロイド剤が処方されます。この場合、症状そのものを治療する薬としてではなく、あくまで対症療法として使われます。副腎皮質ホルモンには症状の原因そのものを治療する作用はありませんので、ひどい炎症を一旦抑え、根本的な治療に取り組みやすくするために使います。

3:副腎皮質ホルモンの副作用


病院でステロイド剤を処方された時や、市販の薬で副腎皮質ホルモンを含む薬品を購入して使う時に気になるのが副作用です。副腎皮質ホルモンを含む薬品を使用する事で起こる副作用には2種類あり、一つ目は大量投与によって引き起こされる副作用、2つ目は長期的な投与によって引き起こされる副作用です。以下にそれぞれをまとめましたので覚えておくとよいでしょう。

<大量投与による副作用>

•感染病に感染しやすくなる
•糖尿病
•胃潰瘍
•精神不安定
•ムーンフェイス
•肥満

<長期的な投与による副作用>

•副腎機能障害
•骨粗しょう症
•高脂血症や高血圧
•筋力の低下
•白内障 緑内障

名前だけを見ても重大な副作用ばかりですが、正しい使用法を守れば安全で高い効果が得られます。むやみに怖がるのではなく、間違った使用を防ぐために正しい知識を身につけておきましょう!

4:副腎皮質ホルモンの使用方法


副作用の危険を避けながら副腎皮質ホルモンを含む薬剤を使用するには、どのような事に注意をしたら良いのでしょうか?副腎皮質ホルモンを含む薬剤を使用する際には、「薬剤の強さ、使用頻度、使用量、期間(塗り薬の場合は範囲)」の4つの点に気をつける必要があります。

病院で処方された場合は必ず使用方法を守り、勝手に通院頻度を減らしたり、前にもらった薬を使い続けるということのないようにしましょう。皮膚のかゆみや炎症を抑える軟膏として市販されているステロイド剤を使用する場合は、原則として1日2回、患部全体に薄く伸ばすようにします。

5:副腎皮質ホルモンの効果は長く続かない


ステロイド剤の炎症作用や免疫抑制作用には、即効性が非常に高く効果が長く継続しないという特徴があります。虫さされや一時的な感染症の症状を治療する際には数回の使用で驚く程の効果を発揮しますが、慢性的なアレルギー症状のような体質からくる症状の治療に使用する際には、使用をやめるとすぐに症状が復活してしまいます。

ここでステロイド剤を大量に投与したり長期間使用してしまうと、副臓の働きが弱まってしまい、副腎皮質ホルモンを自分で作り出す力がなくなってしまいます。

また、アレルギー体質の人は元々副腎皮質ホルモンを作り出す力が弱い人が多いので、ステロイド剤の効果が感じられなくなっても乱用は禁物です。副腎皮質ホルモンの分泌を高めるには軽い運動や入浴で体を温めることが良いとされていますので、ステロイド剤の適正な使用に加えて生活習慣の見直しをし、体の内側からも症状を改善できるようにしましょう。

 

いかがでした?
副腎皮質ホルモンを含むステロイド剤は、上手に使用すれば症状を効率よく改善する事ができます。炎症がひどい場合には集中的に効果を発揮するステロイド剤を使用した方が良い事も多いので、危険な物、何でも治せる物、などという決め付けはせずに用法、容量を守って使用しましょう!

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